iGallery DC

日比野絵美展
シリーズ「単色画」vol.4
HIBINO Emi

本展はシリーズ「単色画」の第4回です。
シリーズ名の単色画とはモノクロームの絵画、写真、版画などを意味します。
カラフルな「映え」とは異なるモノクロームの魅力を、4回に渡って展示する予定です。

vol.1 向井三郎展       5月27日ー7月13日 平面(ドローイング)
vol.2 小嶋三樹展       6月24日ー7月11日 写真
vol.3 渡邉一仁×扶蘇真弓展  7月22日ー8月8日 平面(刺繍/鉛筆画)
vol.4 
日比野絵美展      9月2日ー9月19日 版画



日比野絵美展の展示風景です。




作品の詳細をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側壁面左側の作品です。
左はタイトル「stripe2」(モノタイプ)でサイズ10×19.5cmです。
右は「no title」(ドライポイント)で21×18cmです。



左壁面、右端の作品です。
「no title」(カーボランダム)で113×99cmです。



正面壁面の作品です。
「wall」(カーボランダム)でサイズ可変です。




正面壁面エアコン下、右壁面左端、左から2番目の作品です。
左は「no title」(モノタイプ)で25×20cm、
中央は「no title」(モノタイプ)で25×25cm、
右は「no title」(モノタイプ)で28×28cmです。



右壁面左から3番目、4番目、5番目の作品です。
左は「no title」(モノタイプ)で22×15.5cm、
中央は2点とも「no title」(モノタイプ)で17×25.5cm、
右は「no title」(モノタイプ)で22×18cmです。



右壁面、左から6番目、7番目の作品です。
左は「no title」(ドライポイント)で40×27cm、
右は「stripe1」(モノタイプ)で13×16cmです。



右壁面、右端の作品です。
「border」(カーボランダム)で74×75cmです。

(作家コメント)

ーモノクロームの風景 ー

学生時代の夏、恩師の作品制作の補助で北海道根室市の落石(おちいし)と言う
地域に行く機会がありました。
そこは晴れる事が少なく、霧の出る日が多い場所でした。

霧は濃く、少し前を歩く人の姿が見えなくなったり、作業を終え宿舎に戻る時に
うっかり建物を通り過ぎてしまうほどでした。

一面真っ白な港町で過ごした夏の景色は私の中で強烈な印象として残りました。

落石から戻りしばらくすると、思うように絵が描けなくなりました。

何を描いてもどんな線を引いても納得がいきませんでした。

翌年落石を再訪し、私はあの霧で覆われた白とグレーの風景が脳裏に焼き付き、
囚われていた事に気が付きました。

それから私はモノクロの作品を中心に制作しています。

落石の風景や霧をモチーフにしているわけではありませんが、ずっとモノクロの作 品を作っている理由の一つは、あの景色が原風景として私の中に存在しているから なのだと思います。


「単色画」シリーズも今回の日比野絵美さんの銅版画で最後になります。
日比野さんの銅版画は一般的なドライポイント(ニードルで彫る凹版)もありますが、モノタイプやカーボランダムなどの版を腐食しない技法の作品がメインになっています。
モノタイプは版に直接絵具、インクで描画して、それに紙を当ててプレスします。
言わば転写に近い版画です。
カーボランダムは銅版にボンド(接着剤)で描画し、それに砂をかけ、ボンドに着いた砂にインクをのせて刷る版画(凸版)です。
技法が幾分イレギュラーであれば、展示も通常の版画展とは異なります。
個別の作品をギャラリー空間で構成して、それも一つの作品(インスタレーション)として提示しています
正面壁面の大作(253×214cm)などは版画とは思えぬスケールと空間を作っています。

他方、作品のモチーフには丸(円)や四角やストライプ(縞)など、基本的な図形を用いています。
版もモノクロームの1版。
とてもシンプルでミニマムな画面です。
しかしその表現は適度の節度を保ちながら、決してストイックに陥らず、豊かな(多様な)表情を持っています。

今の世の中は情報が溢れていて、それを制御するリテラシー(技術)が必要とされています。
しかしそこで意味されている情報とは、文字や画像、音響などの人工的に加工されたものがほとんどです。
いうまでもなく、情報とは五感(あるいは六感)が関知するものすべてを指します。
あの白い氷原だけに見える北極圏にも情報は無尽蔵にもあって、それを頼りに生活している民族だってあるのです。

つまりは(飛躍して喩えれば)、日比野さんの展示は北極の風景に近いのかもしれません。
シンプルな丸や四角やストライプが繰り返す、微かな変化や並びや掠れが情報であり、そこに生や生活や時間が表されているのです。
色を制限する=モノクロームにすることで、より感覚を鋭くして、空間=世界の豊かさを表出しています。
そうして、単調な日常に意味を与え、生活の実態を問いかけています。

ご高覧よろしくお願い致します。

プライスリスト1
プライスリスト2

2011年藍画廊個展
2012年藍画廊個展
2013年藍画廊個展
2014年藍画廊個展
2015年藍画廊個展
2016年藍画廊個展
2017年藍画廊個展
2018年藍画廊個展
2018年iGallery DC二人展
2019年藍画廊個展
2020年藍画廊個展
2021年藍画廊個展

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fuku-mac@@kc4.so-net.ne.jp
(*お手数ですが@を一つ取ってから送信してください。)

シリーズ「単色画」vol.4 日比野絵美展
会期:2021年9月2日(木)〜9月19日(日)
開廊日:木・金・土・日
時間:12:00〜18:00


会場アクセスと展覧会スケジュール