髙柳恵里展
場所と大きさ
TAKAYANAGI Eri
壁面別の展示風景をご覧下さい。
展示室A、入口から見て左壁面の展示です。
展示室A、右壁面の展示です。
展示室Bの展示です。
展示室B、コーナーの展示です。
以上の6点で髙柳恵里展は構成されています。
(上の画像以外にも展示室Aの入口壁面に2点の展示があります。)
作品の詳細をご覧下さい。
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展示室A、入口壁面の作品です。
左からタイトル「箱に箱」(インクジェットプリント)でサイズ297×210mm、「柱とロッカー」(紙、鉛筆)で499×650mmです。
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展示室A左壁面と右壁面の作品です。
両壁面で1点の作品で「位置(壁のどこ)」(板、画鋲、テープ)でサイズ可変です。
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展示室Bの作品です。
左から「サマーベッド」(サマーベッド、ブランケット)で710×570×1650mm、「荷物置場/位置(テープの)」(梱包材、テープ、板、クラフト紙、紙管、紙手提袋)でサイズ可変、「皿にチーズ」(インクジェットプリント)で297×210mmです。
<作家コメント>
「 場 所 と 大 き さ 」
こ の 小 振 り で 開 き 窓 の あ る 独 特 な ス ペ ー ス を 思 い 浮 か べ 、 雰 囲 気 と し て 消 費 さ れ そ う な 一 面 も 感 じ つ つ 、 こ こ で 何 を し よ う か と
模 索 し た 挙 句 で あ る 。
こ こ を 何 と 見 る か 。 こ れ を 何 と す る か 。
こ こ の 何 を 見 る か 。 こ れ の 何 を 見 る か 。
例 え ば 、
・ こ の 部 屋 に 丁 度 良 い よ う な 気 が し て 、 サ マ ー ベ ッ ド を ひ ろ げ る 。 ( 別 の 場 所 の 部 屋 の 角 に 置 い て い る も の を 移 動 。 )
・ こ ち ら の 壁 に 一 片 の 板 を 留 め る 。 こ ち ら の 壁 に 一 片 の テ ー プ を 貼 る 。
さ て 、 こ う し た 場 合 、 場 所 を 「 ど こ 」 と し た の か 。 ど の よ う な と こ ろ 、 と 定 め た の か 。 位 置 は ど こ で 、 大 き さ は ど う な の か 。
と い っ て も 、
「 場 合 」 と い う も の は 様 々 な の で あ っ て 出 来 事 は 一 様 で は な い し 、 ど の よ う な 場 所 で 、 位 置 は ど こ で 、 ど れ ぐ ら い
の 大 き さ で あ る の か も 様 々 で あ る 。
何 を し た の か 。
と 言 う な ら ば 、 ど の よ う に 場 所 を 発 見 し た か 、 そ こ で 何 を ど う 発 見 し た か で あ る 。
そ う し て い る う ち に 、 あ ら ゆ る も の の 場 所 と 大 き さ が 気 に な っ て く る の で あ る 。
2 0 2 5 . 9 高 柳 恵 里
ご存じの通り、ギャラリーの空間は白い壁に囲まれています。
すべてがそうだとは限らないのですが、現代美術のギャラリーはほとんどがホワイトキューブです。
そこにありふれた日用品をポツンと置くと、なぜか作品に見えてしまいます。
昨今ではごく普通の住宅を展示場所とすることがありますが、その場合は上記の例はあてはまりません。
当たり前ですが、日用品が日常に埋もれてしまって作品に見えないからです。
つまり空間によって作品に見えたり、見えなかったりするのです。さて今回の髙柳さんの展示を見ていると(いつもそうですが)、日用品がギャラリーのしかる場所に置かれています。
展覧会のサブタイトル通り、「場所」にこだわっているからです。
しかしながらそれは現代美術の作品には見えない。
では何に見えるかと思案すれば、日常と非日常の間で宙吊りにされた日用品(?)に見えます。
よーく見てみれば、「大きさ」も丁度良くないように(?)考えられている。はて、その意味は何なのでしょうか。
明晰さに欠けるわたしの頭ですが、続けて思考してみました。
一つは、現代美術のドグマ(教義)に対する鮮やかな回答です。
絶対に、現代美術の作品に見えないそれに仕立ててあるからです。
コンセプチュアルアート以降と定義されている現代美術に対するアンチテーゼです。
これは難易度の高い試みですが、それだけでは業界内の内輪話にすぎません。
髙柳さんの作品が面白くて楽しいのは、その枠からはみ出て、わたし達を試しているからです。
美術界の狭義の意味を超えて、わたし達の日常生活に作品が浸食してくるからです。
作品が難解(=とりつく島がない)だから困惑するのではなく、日常に混乱を来すから困るのです。
近年の個展ではミネラルウォーターのペットボトルを簡素なテーブルの上に並べましたが、その作品を見た後ではペットボトルの見方、認識が変わってしまう新鮮な経験をしました。では感想です。
「場所と大きさ」はギャラリーのリノベーションではないでしょうか。
最小の費用で場所の意味を変えてしまう、とてもコストパフォーマンスに優れたリノベーションです。
各々のユニークな調度の適度な大きさも素敵です。
でも困るのは、この場所がギャラリーであるようでギャラリーでないようなものになってしまったことです。
ご高覧よろしくお願い致します。
会期
2025年9月1日(月)ー9月13日(土)
日曜休廊
11:30ー19:00(最終日17:00まで)
会場案内
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