藍 画 廊

斎藤英子展
SAITO Eiko


斎藤英子展の展示風景です。



各壁面の展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。



正面の壁面です。



右側の壁面です。



入口横の壁面です。

斎藤英子展は大きく分けると、多数のパーツで構成されたインスタレーションの部分と壁面の7点のドローイングになります。
その他、小展示室に小品が多数展示されています。
インスタレーションは新聞紙、マーキングテープ(蛍光ピンク)、接着剤、針金、水糸(蛍光ピンク) などを使用、ドローイングは画用紙、ポリエマルジョン、蛍光ペン(ピンク)、クレヨン、クレパス、パステルなどを使用しています。
作品の詳細をご覧下さい。
インスタレーションのパートです。









ドローイングのパートです。




上は入口から見て左壁面の4点、下は入口横壁面の3点です。


〈作家コメント〉

この数年、蛍光ピンクのものを「結ぶ」ことで制作してきた。
昨年、ウクライナの人々がカモフラージュの為に迷彩柄の布をネットに結んでいる姿をテレビニュースで知り、私の手は止まった。
世の中の情報を得る手段として 新聞を「読む」「見る」ことをしてきたが、その新聞紙を切り情報を結んでいくことで、作業が再開でき続けられた。
この一年 あまりに多くの 色々なことが あった。

今、私は 新聞を読み -とく-
「溶く」ことから紙を捏ね制作を続け、蛍光ピンクの世界をみている。

いつもように蛍光ピンクのマーキングテープを使った、斎藤英子さんのインスタレーション。
今回はグレーの石のような物体を天井から吊したり、壁に取り付けたり、結んで床に置いたりしています。
この石のようなものは新聞紙を水で溶かして、その後に糊で固めたものです。
新聞紙は情報を伝達するメディアですが、紙とインクで構成された物質でもあります。
その二面性を巧みにインスタレーションで表現した作品です。

蛍光ピンクのマーキングテープは登山道の道標に使われていて、その刺激的な色は警告(アラート)を意味しています。
ここから外れると危ないですよ、という注意喚起です。
新聞は明治以降に国民意識を形成した主要メディアですが、ある時は権力を監視、牽制する役割を果たし、ある時は戦意高揚の旗振り役でした。
ラジオ、テレビの登場、及びインターネットの普及に伴い、その影響力は弱まりましたが、それでも生活に影響力を与えるメディアには変わりありません。
その功罪の大きさという意味でも、アラート(警告し、警告される立場)であり続けています。
今回、斎藤さんは習慣的に新聞を読む,見ることから、それを「読み、溶く」に変換する試みをインスタレーションという形式に込めています。

わたしたちの日常はメディアによる情報の洪水に晒されています。
その多くはバイアスが掛かっていますが、自分なりに「読み解く」ことが肝要です。
つまり、面倒であっても考えることが必要です。
今日のメディアの方向性は読者や視聴者を楽な方(考えなくても済む方)に導く傾向にあるからです。
いつの間にか、考えることは面倒な上に、さほど楽しいことではないと思っているからです。
最たるものは、言うまでなく生成AIに答えを求めることです。
斎藤さんのインスタレーションはそこから遠く離れて、新聞紙を溶いて、固めて、吊すという物理的、身体的な行為で問いかけます。
具体的でもあり抽象的でもあるその空間に佇むと、今という時代に生きることの難しさと、それでも主体的に生きることを諦めない意思を感じます。

ご高覧よろしくお願い致します。

作品リスト

2020年藍画廊個展
2021年藍画廊個展

会期

2023年8月28
日(月)ー9月2日(土)
11:30ー19:00(最終日は18:00まで)

会場案内