藍 画 廊

康世
カプセル ー脱皮ー
YASUYO


康世展の展示風景です。



ギャラリーの各方向からの展示をご覧下さい。





以上のインスタレーション作品1点で康世展は構成されています。
作品のタイトルは「カプセル -脱皮-」で、サイズは可変です。
作品はダクト(脱皮した殻)と古着(自分が着た服)を使用しています。







 

〈作家コメント〉

カプセル
魂が震う
新しい跡


今回の展示は前回とタイトルが同じで、及び素材もほぼ同じです。
異なっているのはダクトと古着の配置。
ダクトと古着の二つのパートに分かれていたものが、今回は絡み合っています。

康世さんに少し話を聞いてみました。
古着部分は種(たね)を表しています。
ダクトは茎と根を表しているそうです。
つまり種が発芽し、根を伸ばして脱皮した状態です。

偶然ですが、わたしは最近植物に興味を持っています。
樹木や草花に「知性」があるとした本を読んだからです。
人間や動物だけではなく、植物にも知性があって、しかも地球の主たる生物は人間ではなく植物であるという分析、見解の書です。
人間中心主義(ヒューマニズム)を覆す、世界観が変わるような科学的な知見です。
もっとも古代からの土着宗教にはそのような考えが少なくないので、ある意味では科学の方が後追いかもしれません。

さて、康世さんが何から脱皮したのか不明ですが、古着は自分に纏わり付いていた考えや行動様式のメタファー(暗喩)と想像できます。
しかし古着は種ですから、それを単に否定するのではなく、そこから栄養を得て生まれ変わったと考えた方が順当です。
なぜなら古着には康世さんの愛おしさと感謝が感じられるからです。
そして、ギャラリーには古着とダクト以外のものもあります。
それはギャラリーの床、壁、天井といったインスタレーションを成り立たせている環境です。
例えれば社会のようなもので、植物では大地がそれにあたります。
大地の養分と菌、微生物や虫のネットワークが織りなす生態系の存在です。
それがあって種は発芽し、根を伸ばします。
逆に言えば、それがなければ植物は生きていけません。

自分の関心事から作品を眺めてみると、それはそれで発見があります。
インスタレーションとは、そういった(見る人も含む)関係を含んだ空間のことだと思うからです。

ご高覧よろしくお願い致します。

作品リスト

2002年藍画廊個展
2003年藍画廊個展
2005年藍画廊個展
2006年藍画廊個展
2007年藍画廊個展
2012年藍画廊個展
2014年藍画廊個展
2016年藍画廊個展
2019年藍画廊個展
2020年藍画廊個展
2021年藍画廊個展
2022年藍画廊個展

会期

2023年8月7
日(月)ー8月12日(土)
11:30ー19:00(最終日は15:00まで)

会場案内