藍 画 廊

中野由紀子展
「移動、屋根と輪郭」
NAKANO Yukiko


中野由紀子展の展示風景です。



各壁面の展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。



正面の壁面です。



右側の壁面です。



入口横の壁面です。

以上の10点が展示室の展示で、その他小展示室に1点の展示があります。
作品はすべてキャンバスに油彩です。
作品の詳細をご覧下さい。

 


左壁面、左端、右端の作品です。
左はタイトル「ベランダ、赤い花」でサイズは220×272mm、
右は「屋根、移動」で1,620×1,940mmです。

 


正面壁面、左端、右端の作品です。
左は「網、移動、校庭 」で1,167×910mm、
右は「倉庫、移動、赤い箱」で220×272mmです。


右壁面,左端、中央、右端の作品です。
左は「ベランダ、赤い花、3階くらい」で318×410mm、
中央は「倉庫、移動、黄色い扉」で1,620×1,940mm、
右は「移動、マンション」で220×272mmです。

 


入口横壁面,左端、中央、右端の作品です。
左は「倉庫、移動、青い扉」で318×410mm、
中央は「マンション、移動、ベランダ 」220×272mm、
右は「移動、マンション、ベランダと雨」で455×530mmです。

 

〈作家コメント〉

最近、人は寝るために起きているのではないか(かなり曖昧ですが)という研究結果が出たと、
ネット記事か何かで読んだのですが、
だとしたら睡眠時に見ている夢は(よく起きている時の記憶を整理していると言われますが)
だんだん現実味を帯びてくる感覚があってもいいような気がしました。
通勤中に電車の窓の外に流れている景色は毎日変わり映えないように見えて、
ゆっくり季節が変わっていく様子に
逆に現実味を感じないこともあります。
「どこにいるんだろう」と思うような気持ちで、少し曖昧な風景を、
より一層輪郭をぼやかして絵を描きたいと思いました。


中野さんの絵画のモチーフの一つは通勤電車の車窓です。
つまりは都市生活者にはありふれた風景です。
しかし大胆な空間構成の所為で、一見しただけでは分かりません。
タイトルと付き合わせてみると何となく想像できますが、それでも掴み所の無さを覚えます。
その掴み所の無さは二つに意味でこの絵画の核心に思えます。

車窓を眺めている乗客は現実の中にいます。
しかしその個人にとって流れる景色にリアリティはありません。
ただ単に無機質にそこに在るだけで、自身とは無関係だからです。
当たり前のようなことを書いていますが、少なくとも数百年前は風景と人の間には深い結びつきがありました。
生活と風景、景色が密着していて、人は風景(風土)に依存せざるをえなかったからです。
農業、漁業、林業などを考えれば分かり易いのですが、風景には生きているというリアリティがあったのです。
風景の中に自分のポジションがあって、アイデンティティなどに悩む必要がなかったからです。
だから車窓の風景は曖昧で掴み所が無いのです。

中野さんの絵画のもう一つのモチーフは夢です。
夢に掴み所が無いのは当然ですが、それはどこかで絵画の在り方とシンクロします。
絵画の歴史には発生から夢や超自然現象が付きものでした。
近年のシュールレアリズムが無意識をテーマにしたように、絵画にとって夢は大きなモチーフであり続けました。
中野さんは画面に車窓と夢をミキシングして、生のリアリティと絵画の現在形を思考(試行)しているように見えます。

中野さんの絵画でもっとも惹かれるのは、植物の存在です。
大きく、小さく、画面にはシダのような植物が描かれています。
植物は空間の写実を拒み、パース(遠近)を狂わせ、絵を攪乱しています。
この植物は現実なのか夢なのか定かではありませんが、リアルです。
なぜなら植物こそは風景の源であり、その光合成によって人は生きているからです。
この絵にはレイヤーが幾つかあって、しかも空間を自由に変化させているので複雑に見えます。
しかし、しばらく植物を中心に眺めていると、とてもストレートでピュアな表現であることが分かります。
タッチと色彩の美しさが浮かび上がり、作家の筆が捉えたリアルな何かが絵画から感じられてくるからです。

ご高覧よろしくお願い致します。

プライスリスト

2015年藍画廊個展
2016年藍画廊個展
2017年藍画廊個展
2018年藍画廊個展
2019年藍画廊個展
2020年藍画廊個展
2021年藍画廊個展
2023年iGallery DC個展

 

会期

2023年6月19
日(月)ー6月24日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)

会場案内