藍 画 廊



池田仁美展
IKEDA Hitomi


池田仁美展の展示風景です。



画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。
左から、作品サイズF120(1303×1940mm)、
F0(140×180mm)です。



入口横右の壁面です。
F80(1121×1455mm)です。



左の壁面です。
F80(1121×1455mm)です。

以上の四点が画廊内の展示で、その他道路側ウィンドウに二点(最上部の小さな画像)、芳名帳スペースに一点の展示があります。
作品は木製パネル、ジェッソ、ジェルメディウム、でんぷんのり、画用紙、パステルを使用しています。



左壁面の作品です。
混沌とした模様に見えますが、部分をクローズアップしてみます。



池田さんの作品は独特の方法で制作されています。
その方法を簡単に書いてみましょう。

まずジェッソを塗ったパネルに薄画用紙を貼り、画用紙を薄く残すように剥がし、パステルで描きます。
そこに千切った画用紙を貼り、剥がし、又パステルで描きます。
それを繰り返します。

上の画像は、度重なった、貼る、剥がす、描く、貼る、剥がす、描くの結果です。
空間に封じ込められた、時間の堆積です。



正面壁面の作品です。
今回の池田さんの作品は、モノクローム=単色(実際は複数の色を使用していますが)の画面が特徴です。
混沌としていて、何かが動いているようです。



右壁面の小品。
この作品は、緑の中に現れる赤の表情が面白い作品。
小品でありながら、展示の中でアクセントになっている作品です。



入口横右の作品です。
これも単色に近い、オレンジ系の色合いでまとめた作品ですね。


描くもの(絵具)と描かれるもの(紙)。
その一体化が、池田さんの作品の特徴です。
物質としての絵具と紙を等価に扱い、そのせめぎ合いの過程を経て、融合を目指します。
最終的に画面に残るのは、その間の経過、痕跡です。

描いた画面に紙を貼り、剥がして、又描いて、紙を貼り、剥がす。
これを異なる角度からみると、生と死の繰り返しです。
人という類や生物が繰り返してきた営みです。
生は死によって否定されますが、その死によって、新たな生は生まれます。

混沌としていて、何かが動いているように見える、池田さんの作品。
それは、何かが動いているように見えるのではなくて、実は動きそのものです。
動くとは変化であり、変化とは時間のことです。
そう、つまりは時間そのものが表現されているのです。

そして重要なことは、時間が繰り返しによって為されていることです。
日が昇り沈んで、一日が繰り返され、春夏秋冬が毎年繰り返されるように、です。
その堆積を(敢えて)名付ければ、歴史になります。

ご高覧よろしくお願い致します。

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会期


2008年7月7日(月)-7月12日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


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